ベストアルバムをつくろう(7)

「ア・ハード・デイズ・ナイト」編

 邦題「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」、初の主演映画サントラ盤です。個人的にはオリジナルアルバムの中で最高の作品と考えており、これからCDを購入するのであれば真っ先にお勧めします。佳作がとても多い作品だとおもいます。

 一般的にビートルズの傑作、名作の類と言えば「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」か「アビー・ロード」、あるいは「リボルバー」か「ホワイト・アルバム」が当たり障りのないところで「ア・ハード・デイズ・ナイト」(以下本作)についてはそりほど評価は高くないようです。

 その理由としては本作は64年の作品であるため後年の作品に比較して録音技術において革新的な試みがされていないこと、アルバムを1作品として創造する姿勢にかけていたこと、楽曲がバラエティに富んでいないこと(特に歌詞)などがあげられているようです。

 でも、そんなことはリスナーにとっては枝葉末節のことで、聴いてみて価値を見出せればそれで構わないんじゃないですかね。レコーディングデータをみると制作は64年の3月から4月にかけて撮影された同名映画と平行して行われ実質は2週間足らずのうちに完成したようです。

 シタールやテープの逆回転はなくサウンドコラージュの側面はみられませんが4トラックのレコーダーを導入しヴォーカルなどダブルトラックで録音されており楽器のアンサンブルもビートルズの色彩に染め上げられているとおもいます。

 たしかに「A面に映画で使用した曲、B面は録音したけど映画では使いませんでした、でもA面だけではLP発売できないからサントラ盤に入れちゃいました」みたいな面は否定できません。しかし、当時、アルバムの位置づなけで「トータルコンセプト」みたいなものはありませんでしたからしょうがないんじゃないでしょうか。

 この作品は例えば「人生の意味」とか「社会批判」とか皮肉、風刺、翳りに属するちょっと苦めのスパイスを感じることはほとんどありません。芸術作品にはそれを求める人が多くいるため評価が低くなっていると思われますが、「音を楽しむ」ことに関しては実にストレート、楽曲の良さと勢いで一気に聴かせてくれます。欠点といえるのは13曲も入っているのに録音時間が30分程度しかない点だけです。時代を感じさせますね。

 気になる曲は多いのですが

1 「アンド・アイ・ラヴ・ハー」
2 「今日の誓い」
3 「アイル・ビー・バック」

 の3曲をピックアップ。中でも3は「アンソロジー1」でのワルツヴァージョンからの変化におどろきました。非常に印象深いものがあります。一度聞き比べてみる価値がありますね。

 

A Hard Day's Night - ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!
A Hard Day's Night − ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!

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