ベストアルバムをつくろう(9)

「ヘルプ」編

 昔はあんまり好きじゃなかった食べ物が今は好きになったとか、絵画館でそれ程感心しなかった名画に最近興味を示すようになった経験はありませんか?私は以前はまったく興味のなかった音楽分野、まあジャズとか浪曲なんかにも関心を示すようになりました。これも年齢的なものなのでしょうかね。ある程度時が流れると以前とは違う目線でものを感じるようになるのはよくあること。

 ベスト盤の選曲に当たって過去のアルバムを聴きなおすと以前とはまた違った印象をもつ場合と当時と感想があんまり変わらない場合がありました。「ビートルズ・フォー・セール」は前者で特にカヴァー曲に新たな魅力を発見しました。「ヘルプ」は後者ですね。映画の「ヘルプ」をみている実家での自分の姿を思い出しました。もちろん、テレビの再放送でリアルタイム体験ではありませんよ。念のため

 さて、このアルバムの印象はといいますと、今も昔も「淡い」感じがします。わかりにくいですかね?あまり強力な主張が感じられないのです。

 作品自体は主演映画第2弾「4人はアイドル」のサントラ盤になっており、映画自体は初のフルカラー作品で前作に比べればきちんとストーリーも組まれていて面白かったように思われます。曲も「ヘルプ」、「涙の乗車券」、「イエスタデイ」と大ヒット曲が3曲入っているし、現在、ポールがライブで演奏し続けている「夢の人」なんかもあるのでそんなに悪くはないはずなんだけど・・・

 たしかに、「プリーズ・プリーズ・ミー」ほどの若々しさは無く「ウイズ・ザ・ビートルズ」ほどの力強さは無く「ア・ハード・デイズ・ナイト」ほどの勢いは無く、「ビートルズ・フォー・セール」ほどのソウルフルな味わいも感じさせません。あまりにポピュラーミュージック的なところ、弦楽四重奏の導入など新しい試みはあったものの中庸すぎたのが原因のように思えます。

 あと一点思いをはせるのは当時のメンバーの心境でしょうか。主演映画のタイトルとはうらはらにアーチストとして成長したい欲求があるにもかかわらず現実は映画タイトルそのもの。過密するスケジュール、歓声で自分たちの演奏も聞こえないライブ活動、ばら売りされるレコードなどなど。いろいろな葛藤のなかで発売されたアルバムがかような傾向にあったとしても不思議ではありません。

 ビートルズの作品としては平凡ですが、他グループの凡百の作品から比較すれば上等であるというのが現在の感想です。上から物を見すぎていると思われたくありませんが仕方ありません。このグループは次の作品からグレードがものすごく上がってしまいそれらの作品から比較するとどうしても手厳しくなってしまいます。アイドルとアーチストのちょうど端境期の作品ですね。

 注目曲は「涙の乗車券」と「夢の人」の2曲です。

 「涙の乗車券」は「1」にも収録されています。彼らのシングルレコードのなかで最も野心的というか挑戦的な作品です。演奏力でも他のグループにひけを取っていないことを証明するために発売したのではないかと思わせる分厚いサウンドが特徴的。
 
 「夢の人」は上記のようにポールのライブでは定番の佳作。最初に聴いたのは「ウイングス・オーバー・アメリカ」の3枚組みライブ盤でした。まだレコードが塩化ビニールのころで3枚組みのこの作品は5千円位した記憶があります。
 
 地元のレコード店に予約してあったにもかかわらず、帰省の際立ち寄った東京の大丸デパートに輸入盤が置いてあり、お年玉で購入しようとしましたが店員さんに「解説や対訳がついてないからやめといたら」と説得された思い出があります。日本での発売日は1月の中旬だったでしょうか。店員さんありがとう。私は今日も輸入盤の購入には消極的です。4人はアイドル
HELP! - 4人はアイドル

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