「赤盤」「青盤」のお話

 ビートルズのベストアルバムと言えば「1」が発売されるまではこの2作品の事でした。通常あまりよく知らないアーティストの作品を購入するとなれば「知っている曲が入っている」アルバムか名の通った作品、いわゆる最高傑作の類の購入をまず検討するのが常道でしょう。お金を無尽蔵に使えるのなら話は別ですが月に3000円の身分とあらば損は避けねばなりません。当然ベスト盤も視野に入れておきます。

 幸いな事に友人が「赤盤」と「青盤」を持っており、事前に聴く事が出来ましたから「レット・イット・ビー」(これが最初に買ったアルバム)のあとに購入を検討しました。しかし、実際に次に購入したのは「アビー・ロード」で次が「オールディーズ」(初期のベストアルバム)だったと思います。

 理由は値段が高価だったから。「赤盤」、「青盤」共に2枚組みで定価4600円でしたから中学生にはちょっと手が出せない代物だったのです。そういえば同じ理由で「ホワイト・アルバム」を買ったのもだいぶ後だったのを思い出しました。ちなみに他のアルバムは定価2500円で日本編集盤(こんなのも3枚あったのだ)のみ2300円だったと思います。

 代替で購入した「オールディーズ」は66年のクリスマスシーズンにでたレコード会社の企画物です。レコード会社としてはこの時期の商戦にビートルズのレコードを売りたかったのだけれども作品が無かったので編集アルバムを組んだと言うわけですね。CD時代になるとアメリカ編集盤、日本編集盤と共にカタログから姿を消してしまいましたが「赤盤」が買えない身としましては大いに助かりました。

 さて、値段の壁のため一時は購入をあきらめたベストアルバムでしたが3年くらい経過した後に突然チャンスがめぐってきました。何を血迷ったか発売元の東芝EMIがカラーレコードでなおかつ値段を下げて限定販売するといった行動に出たのです(?)。たしか1000円くらい安くなったと記憶しています。ちょっとあやしいですが・・・。

 分からん人もいるかと思うので説明しておきますと当時の録音媒体は現在のCD時代の一世代前のアナログLPの時代なので素材はポリカーボネイトなどではなく傷つきやすい塩化ビニールでできており、通常は黒色だったのです。

 それを「赤盤」「青盤」に合わせて赤と青の塩化ビニールで販売しようというのですから物珍しさもありまして「青盤」のみ購入しました。なぜ「赤盤」を見送ったのかと言いますと両方買うのは金銭的に無理だったからです(またかよ!)。

 まあ、赤いレコードはソノシートとかで見たことがありましたから青いレコードの方が購買意欲をそそられたというのが実情でしたね。でも数年後に定価で黒い「赤盤」を普通に購入しましたからその時に双方を手に入れておけば手元に赤い「赤盤」と青い「青盤」が残ったわけで今考えるとちょっと残念な気もします。

 アルバム自体はジョージの選曲で1973年に発売され「青盤」の方は全米で1位、「赤盤」も3位まで上昇しています。解散が70年にもかかわらずベストアルバムが編集されるのに時間がかかったのはレコード会社側が「ビートルズは解散していない」という認識だったからだそうです。つまりポールが「ビートルズから脱退した」だけだと思っていたんですね。だから70年の夏にもレコーディングを再開するとコメントしたわけです。(大人のロック参照)

 では何でベスト盤を編集する気になったかというと潜在需要に気が付いたからなのでした。この年にビートルズの海賊版が市場に出回り結構売れたのです。それは「ビートルズ・αーΩ」とう4枚組み2セット収録曲数120曲のボックスセットに匹敵する海賊版でした。LP8枚で正規版で発表済みの半分以上の曲を網羅するまさにベスト盤ですね。こんな物を売られて市場を食い荒らされてはオリジナルアルバムの売れ行きにまで影響が出ちゃいます。

 結局、「正規のベストアルバムを出すからその他の曲はオリジナルアルバムを買ってね」と言ったところでしょうが、4人が集まって再びレコーディングすることは無かったわけですからレコード会社の選択は誤ってはいませんでした。価格を除けばね(結局これがオチでした)。
1967~19701962~1966
The Beatles 1967-1970

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