「アメリカン・パイ」ドン・マクリーン

 イーグルスの名曲「ホテル・カリフォルニア」には良く引用される歌詞で主人公がホテルのバーでワインを注文すると「生憎、1969年来、酒(スピリッツ)は置いておりません」とバーテンダーが答える部分があります。

 これは1969年がロック・ミュージックにとって大きな転換点になった年であることを示唆しているようです。この年はウッドストックが開催された年でも有り「音楽で世界を変えることができる」という機運がが最高潮に達した年だったのです。

 しかし、それは幻想にすぎませんでした。この年以降ロックに関してはそのような幻想は急激に忘れさられてゆきロックは次第に産業化しロック自体が有していたメッセージ性とかパワーは徐々に衰えてゆく転換点にもなったのでした。だから69年以降はスピリッツ(精神)はおかれていないのだというわけです。

 1970年代の初頭に流行したシンガーソングライターの時代が訪れたのはそのような音楽が外へ向かって放出される時代から内向的、あるいは自省的な心情を表現する時代への象徴的な出来事であったのかもしれませんね。

 さて、そんな70年代初頭は詩的な名曲の宝庫でもあったわけでキャロル・キングやジェイムス・テイラーなどの作品がヒットチャートを賑わしておりました。後年はロックアーティストたらんと派手なステージパフォーマンスを繰り広げていたエルトン・ジョンも当時は吟遊詩人でした。

 時代背景から落ち着いた感じの曲が多かったように思われますがそんな中ドン・マクリーンの大ヒット曲「アメリカン・パイ」は異彩を放っていました。この曲にはすでに失われつつあった音楽の力がまだ残っていたのでした。非常にパワーを持った楽曲だったのでラジオで聴いたときにはその破壊力に驚かされた記憶があります。

 最初にこの曲を聴いたのはFENでした。土曜日の午後にケイシー・ケイサムのDJでアメリカントップ40なる番組がありまして70年代のトップ100企画で7位か8位くらいにランキングされており(多分)フルヴァージョンで聴いたのでした。

 「ポップスなのにこんな力強い曲があるのか」それが最初の印象で、すかさずタイトル名をチェックし購入予定リストの最優先部門にノミネートしました。しかし、実際にこの楽曲をレコードとして手に入れたのはこの数年後の事です。売ってないんだもん。

 今のようにインターネットがあるなら「アメリカン・パイ」で検索にかければ調査及び購入も造作の無いことですが当時はレコード店を地道に回るほか方法が思い浮かびませんでした。友人も楽曲自体を知っている者がいませんし廃盤になっていたみたいなのです。

 結局、新星堂の輸入盤コーナーでデビューアルバムを発見し即購入したのでした。アルバムジャケットは星条旗をペイントした親指を立てているドン・マクリーンの姿があったのを憶えています。1600円くらいだったかな?

 そんな苦労(?)の末、手に入れたレコードでしたが輸入盤のため歌詞の対訳がついていませんでしたから歌詞の意味は今ひとつ分かりません。英語も得意ではありませんでしたから自力で訳すわけにもいきません。

 さて、そんな折、大学の購買部で何気に「アメリカントップ40読本」なる単行本を立ち読みしていたら偶然にもこの曲の対訳が載っていました。またもや即購入。

 本の解説によると歌詞自体が相当難解で時代背景とか当時の音楽シーンについて精通していないと意味がさっぱりわからんそうです。バディ・ホリーの事故死とかオルタモントの悲劇とかドラックカルチャーとか様々な言葉がちりばめられていて色々な意味が汲み取れるのだそうな。

 実際、対訳を全部読みましたが良く分かりませんでした。現在ではインターネットで探すと対訳の載っているサイトがあるので参考に出来ます。「湖が干上がっている」という表現があったのですがサイトでの対訳の方が分かりやすい表現になっていて感心したりして。

 歌詞は意味不明でも困りませんでしたが曲の扱いは難しかったったように記憶しています。曲が長いんですね。8分超ですか。アメリカでシングル発売された際には1曲をA面B面に分けてパート1、2で販売したようです。

 ラジオのエアプレイも最初はこれに準じて片方だけだったようですが曲の持つパワーに聴衆者がフルバージョンを望み全曲かけるようになったとのこと。聴けばさもありなんというのが分かります。

 ただ、音楽の再生手段がレコードとカセットテープの時代だったのでテープの録音して聴いていたのですが楽曲のスケールとパワーのためいつも冒頭に置いていたのでした。当時のヒット曲(アイドル)とかと同じテープに収録していたのも問題があったとは思いますが・・。
 
 友人に曲を紹介しようとカーステレオで「アメリカン・パイ」をかけたまでは良かったが次が「夏のフォトグラフ」by石川秀美であきれられた思い出があります。いま思い出しました・・・。


ベスト・オブ・ドン・マクリーン ~アメリカン・パイ
ベスト・オブ・ドン・マクリーン 〜アメリカン・パイ

この記事へのコメント

riux
2008年11月09日 03:06
きょうNHK-FMでドン.マクリーンという人を知って、ネットで検索するうちにここに辿り着きました。
「ポップスなのにこんな力強い曲があるのか」それが最初の印象---これはまったく同感です。
2008年11月09日 23:57
こんばんは、riuxさん。
アメリカン・パイはもう30年以上前の曲なのですが今聴いてもかなり強力ですね。マドンナもカヴァーしましたがオリジナルの迫力には少々及ばなかったみたいです。名曲は時を経ても色褪せないものなのだと感じさせてくれるそんな楽曲です。

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